一本目を洗ったばかりなのに、もう二本目が欲しい
QUILP
SCOTT
Dead Stock British Grey Denim
QUILPの秋冬コレクションが、ようやく届き始めました。
すみません。セレクトショップなのに、今季もセレクトしていません。
展示会で見たものを、結局すべてオーダーしてしまいました。
なので、全部推せます。
ただ、その中でも真っ先に手にしてほしいものがあるんです。
見たその日から、早く穿きたいなぁと、半年間ずっと楽しみにしていたトラウザーズ。
それが、このSCOTTです。






ブラックを穿いた、その先のグレー
まず、森下さんが見つけてきた生地が素晴らしい。
イギリス製のデッドストック。グレーの経糸とナチュラルカラーの緯糸で織られた、コットン100%のデニムです。
ブラックデニムほど色が強くなく、かといって、よく見かける色の抜けたグレーとも違う。
少し青みを感じる深いグレーで、見る角度によって色がふっと深まるような、独特の陰影があります。
僕はここ数年、ブルーデニムをほとんど穿いていません。デニムを穿くなら、もっぱらブラック。
そんな僕にとって、このグレーは今まさに欲しかった色でした。
ブラックデニムを何年も穿き込むと、少しずつ色が抜けて、複雑なグレーへと変わっていきます。
このデニムは、最初からその色を持っているんです。
しかも、グレーの経糸は芯まで染まっていません。
穿き込んで洗濯を重ねれば、ブルーデニムと同じように、さらに色が変わっていくはずです。
すでに好きな色なのに、ここから先も楽しめる。
それがイギリス製のデッドストックだなんて、もうよだれが出ます。
このグレーには、SCOTTがいい
でも、生地が良ければ、どんな形でもいいというわけではありません。
今回、このグレーデニムを穿くなら、『SCOTT』という形がよかったんです。
デニムのパンツと聞いて、真っ先に浮かぶのはLevi’sの501に代表される5ポケットのジーンズでしょう。
ほかにもチノパンのようなトラウザーズ型や、ミリタリーのカーゴパンツなど、メンズのカジュアルパンツにはいくつもの定番があります。
でも、せっかくのこのグレーデニムを、普通の5ポケットで穿くのは少し面白くない。
かといって、カーゴパンツのようにポケットを増やしたいわけでもない。
それに、これから寒くなる時期を考えると、裾が広いパンツよりも、少し細くなっている方が暖かい。
そんなことを考えていくと、QUILPのボトムスの中で、この生地に一番合うのがSCOTTだったんです。きっと。


後ろの分量が、前を変える
ベースになっているのは、ミリタリーのベイカーパンツ。
フロントには大きなパッチポケットが二つ。後ろにも、角を落とした大きなパッチポケットが二つ。
ワークやミリタリーの要素がはっきりと見える作りです。
ところが、穿いてみるとその印象が変わります。
腰まわりから太腿にかけては十分な余裕があり、膝下から裾に向かって、すっと細くなっていく。
QUILPの定番『DAVIS』とは、まったく違うシルエットです。
そして今回、改めてパターンを見て納得したことがあります。
このSCOTT、前側よりも後ろ側に、生地の分量を多く取っているんです。
だから、腰やお尻にはこれだけ余裕があるのに、前から見ると驚くほどすっきりしている。
穿いたときに感じた、不思議なくらい収まりのいい形。
ちゃんと理由があったんですね。
僕自身、太腿に余裕のない細身のパンツは得意ではありません。
SCOTTなら、腰まわりはゆったりしているのに、全体が横に広がらない。
大きなポケットも、穿いてしまうとそれほど主張しません。
これなら、いつものシャツにウールのジャケットを羽織って、革靴を履くだけでいい。
デニムなのに、いかにもジーンズを穿いていますという感じにならないところも、気に入っています。
ウエストにはベルトループがあり、内側にはウルトラスエードのドローコードも付いています。
ベルトを通しても、そのまま紐で調整してもいい。
裏返せば縫い代は丁寧にパイピング処理され、ジッパーにはririを使用。
見えないところまで、QUILPらしい仕事がされています。
サイズは僕で①。
サイズ③は未洗いでウエスト約106cm。洗濯後は102〜103cm程度になるかもしれませんが、縮み方には個体差があります。
これまでQUILPを穿いてみたくても、サイズが合わなかった方にもぜひ試していただきたいです。
秋冬のコレクションですが、生地は真夏以外なら幅広い季節に穿けそうな厚み。
冬にはウールのジャケットやコートと合わせたいし、春になったらシャツ一枚で穿きたい。
丈の話には、続きがある
さて、ここからが実際に届いてからの話です。
自分用の一本を確保して、まず穿いてみました。
実はオーダーするときのインフォメーションには、総丈98cmと書いてあったんです。
ところが届いたものを測ってみると、102cm。
長いやんけ。
最初に穿いたときも、僕には少し長いかなと感じました。
でも、僕はデニムを洗うのが好きなんです。
リジッドの状態からじっくり穿き込むのもいいですが、洗った後に生地がどう変わるのかを、早く見たくなってしまう。
ということで、早速コインランドリーへ。
普通の洗濯コースで洗い、乾燥機にはかけず、陰干しで自然乾燥させました。
そして、乾いたところでもう一度測ってみると。
98cm。
オーダー時に見ていた、あの数字とぴったり同じになりました。
なるほど、こういうことか。
さすがです。
もちろん、洗濯による縮み方には個体差もあるでしょうが、僕の一本はこれで理想的な長さになりました。
裾を折らずにすっと落としてもいいし、裏側が少しだけ見えるくらいに細くロールアップしてもいい。
店頭の商品は洗っていません。
リジッドの状態から穿き込む楽しさもありますし、どう変化させていくかは、穿く人が決めればいい。
洗わずに穿くなら、3cmほど折って穿くのもよさそうです。
一度目の洗濯が見せたもの
でも、今回それ以上に驚いたのが、生地の表情でした。
洗う前は比較的平らだったデニムに、細かな凹凸が生まれています。
ウエストまわり、ポケットの縫い目、裾のうねり。
生地が縮み、縫い目に力がかかることで、それぞれの場所に違う表情が出てきました。
まだ一度洗っただけです。
色落ちなんて、これからが本番。
なのに、もうこんなに変わる。
洗う前も相当好きだったんですが、洗った後はもっと好きになってしまいました。
予想通り。
いや、予想を超えてきたかな。
この先何度も穿いて、洗って、少しずつグレーが変化していく。
ウエストやポケットの縫い目には、もっとはっきりとしたアタリが出てくるかもしれません。
どんな姿になるのか、今の僕にもまだ分からない。
でも、だからこそ楽しみなんです。
考えてみれば、デニムは本来そういう服でしたね。
新品のときが一番いいとは限らない。
何度も穿いて、何度も洗って、気づいた頃には最初の姿よりずっと好きになっている。
展示会から半年。
ようやく届いて、実際に穿いて、洗ってみたら、想像していた以上によかった。
まだ一度しか洗っていないのに、もう一本欲しくなっている。
さすがに気が早いかな。
今季のQUILP、僕の一本目はこのSCOTTでした。
そして、たぶん今季一番穿くのも、このSCOTTになると思います。





















