撮影したあとに見えてきた面白さ
この服の面白さに気づいたのは、写真を撮った後でした。
撮影している時は、上品な半袖シャツだと思っていたんです。
Thomas Masonの定番『REGENT』。
エジプト産の超長綿を使ったポプリン生地で、軽さとハリがあり、ほんのりとした光沢もある。
グレーと白のストライプも静かで、どこか空気が澄んで見えるような色です。
だから自然と、きれいなシャツとして見ていました。
でも、文章を書くために改めて服を眺めていたら、少し違和感が出てきたんです。
この服、本当に半袖シャツなんだろうか。
真面目な顔をした不思議な構造
胸にはポケットがひとつ。
さらに腰には大きなポケットがふたつ。
しかもそのポケットは生地を二重に使ったしっかりした作りで、大きさも普通のシャツにつくものではありません。
むしろカバーオールのポケットに近い。
背中には深いタックが入り、身幅もゆったりしています。
冷静に考えると、結構変なことをしています。
ワークウェアのような構造なのに、生地はThomas Mason。
普通ならもっと土臭くなるか、逆に上品に振り切るかのどちらかになりそうです。
なのに見え方は驚くほど真面目なんです。
だから最初は気づかなかった。
僕自身、普通に上品な半袖シャツだと思っていました。
眺めれば眺めるほど、『すごく上品な生地で作った半袖カバーオールみたいなシャツ』という言葉がしっくりきました。
忘れていた自分の直感
そして、ここまで考えたところで思い出したことがあります。
今回、僕はサイズ2と3しかオーダーしていませんでした。
普段ならサイズ1を選ぶことも多いのですが、このモデルだけは最初から大きく着たいと思っていたんです。
シャツとしてではなく、少しゆったりしたカバーオールのような感覚で。
完全に忘れていました。
でも考えてみれば、展示会で見た時の自分は、もうその空気を感じ取っていたんでしょうね。
KAYとは違う面白さ
先日ご紹介したKAYは、前から見た時と後ろから見た時で別の服のように見える面白さがありました。
それに対して、このBLADEは少し違います。
最初は普通に見える。
でも向き合う時間が長くなるほど、「なんだかおかしいぞ」となってくる。
半袖シャツなのか。
ワークシャツなのか。
半袖のカバーオールなのか。
正直、今でもよく分かりません。
自由に解釈していい服
展示会資料にはS/S SHIRTと書かれているだけです。
たぶん森下さんも、そこを細かく説明するつもりはないのでしょう。
だから着る人が自由に解釈すればいい。
僕も最初はシャツだと思っていました。
でも今なら、もう少し違う合わせ方も試していたと思います。
中にシャツを着て、その上から羽織る。
半袖シャツとして見ていた時には出てこなかった発想です。
たぶん僕自身、この服を少し誤解していたんだと思います。
たぶん、この服は僕が思っていたよりずっと自由です。


















