名前の奥にあるもの
LA BAUMEの新作サンダル、その名も『Morning Stroke』。
最初に名前を聞いた時は、
「朝の一撃?なんじゃそりゃ」
という感じでした。
でも実際は、かなり個人的な意味を持った名前です。
“Morning Stroke”
おそらく、そのまま「朝の脳卒中」。
デザイナーのミハウさん自身が、ある朝突然脳卒中で倒れたことから名付けたモデルだそうです。
普通なら、もっとそれっぽい名前にもできたはずです。
でもそれを、そのまま少しブラックユーモアのように、
プロダクト名にしてしまう。
そこに、どこかポーランドらしい明るさというか、
深刻さすら笑いに変えて前へ進む感覚を感じました。
放置されていたメール
現在ミハウさんはかなり回復されているそうで、
そのタイミングから工房を大きく支えるようになったのが娘さん。
実はこの『Morning Stroke』と、
次にご紹介する『KASINKA-HB』は、
HOPPER’S BRUNCHとのコラボレーションとして、
かなり前から構想自体は存在していたそうです。
ただ、そのアイデアが入った森下さんからのメールを、
ミハウさんがずっと放置していたらしいんですが。笑
そこから娘さんが加わったことで、
急にプロジェクトが動き始めた。
この流れが、なんだかとてもLA BAUMEらしいなと思います。
止まっていた構想が、動き出した
娘さんは、ペット用品のデザイナー。
しかも、ハーネスやアウトドア系の構造、パーツ設計にかなり精通している方だそうです。
だから今回のモデルって、
ただクラフト感だけで成立しているわけじゃない。
踵がないのにスポッと抜けにくい足入れの深さ。
甲をしっかり包み込むレザーの角度。
そして、この分厚いソールとのバランス。
見た目はかなりプリミティブなのに、
実際に履くと驚くほど歩きやすい。
この“構造としての完成度”は、
娘さんが加わったことで一気に実現した部分なんだと思います。
しかも今回使われているソールは、
Vibramの「Vi-Lite」。
軽さを追求した発泡素材で、
見た目のボリュームに反してかなり軽量です。
耐久性もしっかりあり、
長時間の立ち仕事や出張なんかでも疲れにくい。
正直、このソールをサンダルにここまで自然に組み合わせているの、
僕は初めて見ました。
革靴のように、サンダルを履く
展示会で初めて見た時、
新作で、アイボリー。
かなりやられました。
ぽってりしていて、可愛い。
でも全然甘くない。
サンダルなのに、
どこか革靴みたいな存在感があるんです。
しかも見た目ほど重くない。
履くとスッと前に足が出る。
僕はこれ、
「革靴の軽快版」みたいな感覚で見ています。
今の気分にちょうどいい色
今回、革の色やフットベッド、ソールカラーまで選べたのですが、
こちらは森下さんカラーをそのまま採用させてもらいました。
アイボリーのアッパーに、
ナチュラルなフットベッド、
ダークブラウンのソール。
この配色が本当に絶妙です。
去年、うちで開催したLA BAUME展でも、
アイボリー系のカラーは女性人気がかなり高かった。
僕自身その良さをよく知っていたのと、
今季は白やアイボリー系のパンツを多く仕入れていたこともあって、
今の気分にもぴったりハマりました。
もちろん女性が履くとかなり可愛い。
でも今回は、
男性にもぜひ履いてほしくて、
23cm〜27.5cmまでかなり幅広くサイズをご用意しています。
ぽってりしたボリューム感があるので、
男性が履いても足元が弱くならないんですよね。
むしろ、
白いパンツや太めのトラウザーズなんかと合わせると、
ものすごく自然に馴染む。
ちゃんと笑える強さ
民芸品みたいでもあり、
工業製品みたいでもある。
クラフト、ミリタリー、民族的な空気。
いろんな要素があるのに、
どこにも寄りすぎていない。
この“ちょうどいい曖昧さ”が、
LA BAUMEの一番すごいところだと思います。
そして何より、
このサンダルには、
止まりかけていたものが、
もう一度動き出した空気がある。
放置されていたメール。
娘さんの参加。
回復したミハウさん。
そこから生まれた『Morning Stroke』。
普通なら少し重たくなりそうな話なのに、
最後にはなんだか笑ってしまう。
やっぱりこの名前、
最高だと思います。















