フランクらしい美しい生地のジャケット
僕の秘蔵っ子。
かなり厚手のローデンウールを使ったフランクリーダーらしい一着のジャケット。
Vintage Loden Wool
ドイツのお隣、オーストリア発祥のローデンウールといえばグリーンのイメージですが、白、黄、橙、赤、茶、青と、確認できるだけで6色もの糸が混ざり合った、まるで印象派の絵画のような美しい色の重なりが、奥行きのある不思議なブラウンを作り出しています。
フランクが見つけてくるビンテージの生地は、既視感のない、どうやって織ったのか全くわからない生地が多く、賛否両論、他を寄せ付けない独特のムードは、服好きのコアなファンの心を鷲掴みにして離しません。
ちなみにローデンウールとは、ヨーロッパアルプスの厳しい寒さの中で生き抜くために生み出された、高密度に織られた圧縮ウール素材で、生地の歴史は非常に古く、16世紀にその発祥の地であるオーストリアのチロル地方、ローデレス村にちなんで名づけられたとされている(諸説あるみたいですが)。
ローデンウールの繊維には天然の羊毛脂が豊富に含まれているため、毛玉になりにくく、耐水性、透湿性に優れ、シミや汚れに強く、非常に実用的な生地です。
Tyrolean Jacket
今回ご紹介するジャケットは、遠目で見ると一見シンプルなスタンドカラーのワークジャケットですが、、、、。
控えめに言っても大きい4つアンティークボタンと、パッチポケットではない両サイドポケット、襟を倒せば控えめなラペルができたり、挑戦的な厚い生地、等。
うっとりと眺めてしまう色の美しさだけではないフランクらしさ溢れるチロリアンジャケットに仕上がっています。
時間をかけて馴染ませていきたい
しっかり縮められ目の詰まった生地は、最初から柔らかく着やすいといったものではないけれど、絶対風を通さないぞという信念すら感じさせる力強い張り感があります。
ウールなので、いつものようにじゃぶじゃぶ洗って育ててくださいとは言いませんが、とても冬らしい贅沢な一着です。
あれこれ書いてますが、本当に見て頂きたいのは、やはり『生地』。
間違いなく2度とお目にかかれないような美しい色合い。
私物化するのにずっと隠していた僕の秘蔵っ子です。