Post O’Alls POST BD 2
最近では襟なしのシャツばかり着ていますが、洋服屋の駆け出しだった頃は、インディビジュアライズドシャツというブランドのB.D(ボタンダウン)シャツばかり着ていました。
あれから20年が経ち、僕自身ボタンダウンのシャツから少し遠ざかっていましたが、また久しぶりに着たいなと思うB.Dシャツがポストから届きました。
ポストが作るボタンダウンシャツ
その昔、ニュージャージー州のシャツ工場で作られていたPost O’AllsのB.Dシャツ。
他のシャツのように工業用ミシンで縫い上げるのではなく、専門的な縫製工場で縫われていたそのシャツは、台襟の高さ、襟の羽根、ボタンの厚み、サイドシームの針の運び方(運針)等、全てのディテールが美しく絶妙なバランスで一体となり、それはまさに伝統的な『アメリカンシャツ』そのものでした。
その当時のポストのB.Dシャツを今でも何枚か持っていますが、生地がブロードのギンガムチェックや、刷毛目のクレイジーパターンといった比較的薄手の生地が多かった記憶があります。
POST BD 2
今回はその当時のムード感そのままに、生地のバリエーションが『ザ・ボタンダウン』な4種類、オックスフォードのホワイトとサックスブルー、シャンブレー、ライトオンスのデニムで登場。
どれも良かったのですが、その中からオックスのホワイトとデニムの2種類をセレクトしました。
どちらの生地も、先日ご紹介したバンドカラーシャツと同じ生地です。
Oxford White
オックスは、洗っていくことで目が詰まっていき、肉厚ながらも柔らかい、独特な風合いと着心地の良さを堪能できる生地です。
少しかしこまった場所にはピシッとアイロンをかけて臨みたいものですが、カジュアルで着るときは洗いざらしをお勧めします。
Light Denim
ライトデニムは、ゴワゴワした厚手な感じではなく、しなやかで柔らかい、シャツにもってこいな生地の厚み。
どちらもガシガシと着込んでいくごとに味わいが深まり、体に馴染んでいく感覚を経年変化として楽しんでもらえること間違いなし。
特にデニムは時間の経過が味となり、その人のキャラクターになっていくので、『育てる』のが好きな人は、こちらの生地ですね。
リラックスフィット
シルエットは、スリムでもワイドでもない、ちょうどいい感じのリラックスフィット。
裾のラウンドも自然で、浅すぎず、深すぎず、絶妙なバランス。
サイドにはマチ付き
ブルックスのシャツやインディビ、ギットマンには付いていないですが、サイドにマチが付いているのも個人的には嬉しいところ。そこにスペアのボタンが縫い付けてあるのもニクい。
シングルニードル
前身頃と後ろ身頃の縫い合わせの端を細かい運針で巻き込んで縫うシングルニードルテーラリング。
日本では『巻き伏せ本縫い』と呼ばれる通常の縫い方の2倍もの手間隙を要するが、横から見た時の美しさと、純粋な強度、良好な着心地をもたらしてくれるこだわりの縫製仕様です。
このシャツの顔は襟
そしてこのシャツの顔は『襟』です。
僕はほぼすることはありませんが、ネクタイをしたときに見られる襟のロール、そしてタイを外した時の襟元の曲線の美しさたるや。ため息もの。
グッと色気が出ますね。
多分襟に芯地が入っていないので、洗っていくと襟がクタッと倒れていきます。
その感じもまたいいんです。
とてつもなく拘った『普通のシャツ』
あーだこーだと書いてますが、一見すると変哲のない佇まいのシャツです(すみません🙇♂️)。
ただ、トレンドに左右されることもなく、あらゆる場面、あらゆる装いにそっと寄り添い、いつまでもワードローブに残り続ける。そんな 『普通』の洋服って凄くないですか?