先入観を裏切る一枚
僕は、いわゆる『パジャマシャツ』をファッションとして語るのがあまり好きではありません。
正直、これまで自分で買ったこともないし、全然興味も湧かなかった。
でも、これはちょっと話が違いました。
なんじゃこれ、めちゃくちゃいいじゃないか、って。
原型をなぞらない服
QUILPの服って、もともとの原型は確かにあるのに、
どこかで通り過ぎたり、戻ったりして、気づけば出どころが曖昧になっている。
その曖昧さが、そのまま魅力になっているブランドだと勝手に思っています。
このシャツも『Pyjama Shirt』という名前はついていますが、
実際に袖を通すと、その言葉だけでは収まらないバランスになっています。
しっかりと分量を取った身幅に、深く入ったセンタープリーツ。
そこから生まれる大きなドレープと、後ろに向かってゆるやかに落ちる裾のライン。
スリーピングシャツのようなリラックスした空気を残しながら、動きはどこかエレガントです。
胸ポケットに加えて、サイドスリット、さらにウエスト位置にはチェンジポケット。
ディテールはしっかりあるのに、開口部の処理が静かなので、見た目はすっきりしている。
この『主張しすぎない作り込み』は、やっぱりQUILPらしいところです。
生地で変わる2つの表情
生地は2種類。
ひとつは、Thomas Masonのポプリン。
軽くてコシがあり、クラシックなブルーストライプがとてもきれいです。
春の光に素直に反応するような、軽やかな色。
こういうブルーって、着ると気分が上がるんだなと改めて思いました。
もうひとつは、森下さんがロンドンで見つけてきたデッドストックのクレープジャージ。
ポリエステルベースでストレッチがしっかり効いていて、驚くくらい伸びます。
ちりめんのような細かな凹凸と、深いネイビーの静けさ。
見た目は落ち着いているのに、実際に着るとどこかチャーミングな一面がある生地です。
このクレープの方は、ポケットに手を入れたり物を入れたりすると、
生地が伸びて、裾からポケットが少しだけ顔を出す。
そのちょっとした動きが、妙に愛嬌があっていいんですよね。
どちらにも寄らない
シャツとしても使えるし、軽いジャケットとしても成立する。
でも、そのどちらかに寄りすぎない。
『パジャマシャツ』という名前をうっすら残しながら、
そのニュアンスだけを丁寧に削いでいったような一枚です。
サイズ1



サイズ3




着てわかる、不思議なバランス
正直、着てみると驚く人が多いです。
見ただけでは、なかなか伝わらないので。
袖を通して、まずびっくりする。
でもそのあとに、あれ、意外といけるなってなる。
ベーシックではないはずなのに、
そのまま着れてしまう。
気づいたら、もう一色も気になっている。
どうしたものか。



















