緊張感を解く、奥行きのある『黒』
黒のジャケットというと、少しだけ身構えることがあります。
艶のある真っ黒はそれだけで強さが出るし、きちんとしすぎたり、どこか構えた空気が漂ったりする。
でもこのField Shirtには、その緊張感がありません。
黒は黒なのに、なんだか呼吸が楽なんです。
理由はやはり生地にあると思います。
ラミー80%、コットン20%。
ロンドン北部のサプライヤーから入手したデッドストックのテーラリング生地で、後染めされたブラックは深いのに重たくない。
表面にはランダムな凹凸があり、光を均一に反射せず、やわらかく受け止めます。
その凹凸が近くで見ると何かの模様のようにも見えて、真っ黒なのに奥行きがある。
だからのっぺりしないし、デザインで飾らなくてもきちんと表情が出ます。
身体の動きに寄り添う、意外な軽やかさ
重厚そうに見えるのに、実際に着ると意外と軽い。
引っ張っても伸びるわけではないのに、動くと不思議と身体に沿う感覚があって、どこかストレッチが効いているようにも感じる。
Field Shirtという名前がついているのも納得で、身体を動かすことを前提にした服なんだろうなと、袖を通していて素直に思いました。
緻密に計算された「ゆとり」の美学
形はゆったりとしたフィールドシャツですが、いわゆる軍物のような緊張感とは少し違います。
もっと穏やかで、自然の中で過ごすための服の延長線にあるような印象です。
背中にしっかり分量を取り、ヨークに入ったプリーツが動きに余裕を生む。
そのおかげでシェイプは効いていないのに、ルーズには見えません。
僕が着るとややゆったりめのバランスですが、それも想定内という感じで、このくらいのサイズ感で着たいと思えます。
一番上までボタンを留めても首元が詰まらず、開ければ軽い羽織りとして使える。
シャツとジャケットの間にあるような立ち位置で、季節の変わり目にはハーフコートのような感覚で着るのも良さそうです。
袖を軽くまくってラフに着てもいいし、そのままきちんと着てもいい。
厚みのあるインナーも受け止めてくれる余白があるので、今の時期から着はじめても無理がありません。
日常に溶け込み、育っていく一着
Heavy Garment Washが施されているので最初から馴染みはありますが、着ていくうちに肩や肘の動きに合わせてさらに自分の形に落ち着いていくはずです。
気を使って着る服というより、つい手が伸びて、気づけば袖を通している。
黒なのに力まない。それでいて、ちゃんと見える。
そのちょうどよさが、このField Shirtのいちばんの魅力だと思います。














