サステナブルなデザイナー
誰もが忘れていた、もしくは見向きもせず通り過ぎていった過去の美しいものに気付き、足を止め、そこに価値を見出し、新しいものに昇華させる。
フランクリーダーは、その感性と技術を持って『サステナブル』な方法でコレクションを発表している稀有なデザイナーです。
60’s German Military Bedsheet
うちの定番としていつもご紹介しているこのシャツは、冷戦によって第三次世界大戦に突入する事を想定して備蓄され、1960年代にドイツ軍で実際に使われていた軍用ベッド用シーツを使った物。
長年、軍の倉庫にて、その存在を忘れ去られていた生地ですが、Frank Leder 2009年秋冬コレクションで初めて登場し、途中手持ちの生地が無くなり生産をストップしたシーズンもありましたが、今やフランクリーダーを代表する生地と言えるまで、なくてはならない存在になってます。
一枚のシーツから一枚のシャツへ
軍用のシーツは通常のシーツよりも幅が狭く作られている為、一枚のシーツからほぼ一枚のシャツしか作れないそうです。
デッドストックの生地であるが故に、シーズンによっては一枚ずつ微妙な色の違いや、ラインが入っているシーズンもありました。
最近でてくるシーツは、少しベージュがかった生成り色で、ところどころ綿花の殻のカスが生地に少し残ったような素朴な風合いが味わい深い生地です。
無くなることが決まっている希少な生地
フランクは状態の良いデッドストックのシーツが見つかる度に確保していますが、ドイツ国内ではもう出てこないんじゃないかっていう位探しているので、今持っているストックを使い切ってしまえば二度と手に入らない物になってしまいます。
なので、展示会に伺う度にまだ生地が取れるか心配になりながら毎回オーダーを続けています。
Old Style Stand Collar Shirt
形はしつこく提案し続けているオールドスタイルのスタンドカラー。
騙されたと思って一回着てみたら絶対ハマる万能シャツ。
襟のないゆったりとしたシルエットは、太めのパンツにもすっきりとしたパンツにも合います。
重ね着のシーズンは、ゆったりめのジャケットとの相性も良く、着丈の長さが重宝します。
春から秋にかけては、軽い羽織ものとして携帯してください。
ガンガン洗って育てるシャツ
洗濯する度に愛着が湧く、育てるシリーズの筆頭でもあります。
ドイツの軍用シーツは屋外でも使用する頻度が高く、緊急の際、他の用途にも使えるようにコットン100%でも厚みのある生地になっているのでガンガン洗濯機で洗ってOK。
個人的に長く着ている同じ生地のシャツは、数百回の洗濯を経て最初よりも少し白っぽくなってきました。
アンティークの包みボタンの布も破れ、土台のピューターの燻んだ銀色が出てきましたが、生地の表情との調和も素晴らしくとっても良いムードです。
この経年変化もこの素材の醍醐味とも言えます。
歴史を見に纏う
貴重な生地ということには疑いの余地はありませんが、たんに珍しいという理由ではなく、この素材が洋服の素材としてとても適していて、フランクの思い描くストーリー(スタイル)に合う風合いだということ。
歴史を身に纏うっていうと大袈裟ですが、古着にはない抜群のシルエットと、フランクらしい細やかな配慮の効いた仕立て。
普通に着ていて気持ち良い、雰囲気のある洋服です。