着た時間まで、生地の表情になる
コーデュロイは、着た時間がちゃんと残る生地です。
着て、洗ってを繰り返すうちに柔らかくなって、シワが入り、擦れるところには少しずつアタリが出てくる。
最初は均一だった畝にも、その人の着方が残っていく。
僕がコーデュロイを好きなのは、たぶんそういう変化が分かりやすいからです。
今回の生地は、そこにもうひとつ面白さが加わっています。
チェックです。
コットン100%の細畝コーデュロイに、Shadow Check。
今回はそのShadow Checkを二種類セレクトしました。
メーカー表記ではBlack 1とBlack 2。少し分かりにくいので、店ではチェックがより沈んで見える方を『Dark』、もう少し柄が見える方を『Light』と呼ぶことにします。
凹凸のあるコーデュロイそのものの表情に、さらに視覚的な柄を重ねている。
シャツ生地として考えると、かなり面白いことをしています。
しかも、このチェックがずっと同じように見えるわけではありません。
少し離れる。
近づく。
光が当たる。
影に入る。
そのたびに、柄の見え方が変わります。
黒の中に、チェックが潜んでいる
特にDarkは面白いです。
遠目には、ほとんど黒いコーデュロイシャツ。
無地の黒シャツくらいの感覚で着てもらって、全然いいと思います。
でも、少し近づいたり光が当たったりすると、ぼんやり格子が現れる。
前を歩いている人のシャツを見て、
「なんか柄があるような……黒なのか?」
と思って、もう少し近づいたら、
「あ、チェックなんだ。」
そんなこともありそうです。
着ている本人は最初から知っているけれど、周りの人にはなかなか正体が分からない。
このちょっとしたズレは、Darkならではだと思います。
一方のLightは、もう少し素直にチェックが見えます。
ただ、こちらもパキッとしたチェックではありません。
黒からグレーへと色が移っていく中に、さらにコーデュロイの畝が光を拾う。
明るいところでは線が浮き、少し暗くなると沈む。
同じ場所を見ていても、その間にある色が何段階にも増えていくように見えます。
だからLightは、チェックシャツではあるんですが、派手さはない。
シックなチェックが好きな方や、柄物を着てみたいけれど強いものは避けたい方なら、こちらがいいと思います。
素直な形だから、生地の面白さが残る
形は『Original BL Shirt』。
少し長めの襟と、フロント、バック両方のヨークに入るギャザーが特徴です。
このギャザーは、30年以上前に描かれていたデザイン画から後になって形になった仕様。
肩まわりに少しゆとりが生まれますが、全体のバランスはとても素直です。
細畝なので、コーデュロイ特有の温かさや陰影はありながら、太畝ほど重たく見えません。
一枚で着た時には生地の表情がきちんと見えて、寒くなればアウターの中にも収まりやすい。
形が素直な分、今回のように少し凝った生地を乗せても、生地だけが先走らないのもOriginal BLの良さだと思います。
ちなみに裏返すと、どちらも表よりずっとはっきりチェックが見えます。
柄そのものが薄いわけではありません。
ちゃんとあるチェックの上に、コーデュロイの畝と毛足が重なることで、表側ではあの独特な見え方になる。
裏を見ると、その仕組みがよく分かります。
どちらかではなく、どちらにも理由がある
たぶん普通なら、どちらか一方をセレクトすることが多いと思います。
でも、DarkにはDarkの面白さがあって、LightにはLightの良さがある。
どちらにも選ぶ理由があったので、今回は二つとも入れました。
無地の黒シャツのように着られるDark。
シックなチェックシャツとして楽しめるLight。
この二つなら、僕がどちらかに絞るより、悩んでもらう方がいいと思っています。






見るたびに変わる。その先は、まだ分からない
そして、この生地にはもうひとつ楽しみがあります。
コーデュロイは着れば柔らかくなり、シワやアタリが出て、畝の表情も少しずつ変わっていきます。
そうなった時、このチェックは今より浮いて見えるようになるのか。
それとも、さらに生地に馴染んでいくのか。
今のところ、それは僕にも分かりません。
離れて見た時。近づいた時。光が当たった時。そして、何年か着た後。
このShadow Checkは、そのたびにもう一度見たくなる生地だと思います。














