印象派の絵画の様な色彩
印象派の画家が描いた点描画のような、牧歌的で素朴な美しさのあるローデンウールを使用したトラウザーズ。
Grey Green Wool
デッドストックならではの硬さと奥行きのある風合いを持つこの生地は、24F/Wシーズンのコレクションでは違うモデルでリリースされていて、生地自体はとても気に入っていたのですが、うちで取り扱うにはちょっと癖のある形過ぎたので泣く泣く断念した経緯がありました。
その展示会の何ヶ月か後に、あの生地を使って桃谷さんの好きなドローストリングのモデルで展開できるようになったと連絡があり、すぐにオーダーさせて頂いたのが、今回ご紹介するトラウザーズです。
Drawstring 2 Tuck Trousers
先日同じ形のネイビーのトラウザーズをご紹介しましたが、同じ形でも今回の生地の方が硬く、分厚いので、印象が全然違ったものになります。
各々の良さがあり、コーディネートのムードも違ってくるので、改めてフランクの懐の深さというか、生地探しへの執念のようなものを感じます。
僕が勝手にローデンウールと呼んでおりますが、今回の生地に対しての詳細は明らかにされておらず、今までの経験からローデンウールが大好きなフランクが見つけてきた良い色の縮絨生地、まさにローデンウールといった感じの生地なんです。
寒く厳しい冬を乗り越えるため、ウールを縮絨させ保温力を保ったまま、撥水性、防水性、防風性を持たせた天然繊維の高機能素材がローデンウールです。
偶然が生む配合の妙
軽くて暖かい現代的な防寒素材と比べると、重いし手入れもしにくいウール。
何年か前までだとアウトドア系全盛の皆楽な方向性を選ばれていたような気がしますが、コロナ後の、普通の生活のありがたさを身にしみて感じた世界では、身に付ける物の質を高めていかれる方が増えたような気がします。
テックな生地には出せない歴史のある天然素材の味わい深さは、身につけた時の気分の高まりと心が満ちていく満足感、今日という日に何を着るか何を選ぶかの楽しさを教えてくれると思います。
寒い日には、やっぱりウールが良い。