イギリスより、久しぶりの入荷
2年半ぶりのクイルプbyトリッカーズです。
前回は、初回ながら思いっきり遊んだ2色でオーダーしましたが、今回は真逆。
全方向全天候型トリッカーズをイメージしてオーダーしてます。
ひと目でもう充分カッコ良さが漏れちゃっているのですが、この靴の凄さはそのストーリーにあります。
今回はいつもに増して長い文章になるので、お急ぎの方や革靴にご興味のない方はスルーして頂いて大丈夫です。
逆に、革靴で損したくない方や、つま先が細い革靴に違和感を感じている方、太めのパンツやトラウザーズに合わせる革靴が分からない、OLDTOWNに一番合う靴は?etc….。
なんて思いを密かに抱いている方は、一読してみてください。
世に革靴はたくさんあれど、こんな靴は有りそうで、無いんです。
まず、箱をご覧下さい。
QUILP
mode and artisans
TWO-FOUNDATION
The Old Curiosity Shop
Tricker’s
of England
Shoemakers Since 1829
【QUILP】
『mode and artisans』をコンセプトに掲げるTWO- FOUNDATION代表の森下さんが設立した洋服とシューズのブランド。
【mode and artisans】
モードとアルチザン。
一見相反するような言葉ですが、デビューシーズンから作り続けるこの靴こそ、QUILPのコンセプトを体現している代表的なアイテム。
【The Old Curiosity Shop】
1980年代のイギリスで一世を風靡し、1989年に亡くなってしまった伝説的なシューデザイナーJohn Moore(ジョンムーア)さんの意思を引き継ぎ、その存在をLondonにて現在も発信し続けている木村大太さんのお店。
【Trickers】
1829年創業。靴の聖地ノーザンプトンにて、厳選された素材と職人技を駆使し、伝統を守り続ける英国老舗のシューメーカー。ロイヤルワラントホルダー(英国王室御用達)。
奇跡的なコラボレーション
190年の歴史を持つTricker’sのラインナップには存在しない、丸いつま先が特徴的なフォルムは、既視感の無いぽってり具合で、上記の誰が欠けても完成しなかった奇跡的な形。
木村大太さん協力の元、ジョンムーアさんの作品をベースに作ったラスト(靴の木型)を、未だにベンチメイドを貫く老舗に持ち込み制作したからこそできた、文句のつけようのないクオリティーと、流行とは適度な距離をおいた一過性ではない唯一無二のデザイン力の高さ、革新性は、比べる物が無く、自分の目利きのみを問われる。
30年前のラストとは思えない今もなお新鮮な感覚と、伝統の技術が合わさった独特の形は、ビルケンシュトックが作るシューズのような、コンフォートシューズのルックスに近いが、安定感のある重心の低さと質実剛健なムードで、コーディネートをグッと引き締めてくれる。
Oxford Shoe
アイレット部分がヴァンプ内に隠されている、内羽根と呼ばれるデザインの靴です。
このモデルはクラシックなフォーマルドレスシューズの定番スタイルですが、キャップトゥー仕様にして、ブローギング(大小の丸い穴)を施すことによって、華やかな表情をプラスし、少しカジュアルダウンさせた結果、冠婚葬祭あらゆる状況に対応できるバランスの良い一足となりました。
装飾性の高さより実用性重視
トリッカーズの靴は、貴族のハンティングや農作業用の靴を作ってきた歴史があり、ファッション性の高さよりも実用面、歩くことを念頭に置いて作られたシューズなので、踵が少し高くなっていて自然に足が前へ出るように作られています。
足裏に直接触れる中敷には、しっかりとした厚手の革が張られ、その下にはみっちりコルクが敷き詰められています。
履き込むことで、体重により少しずつ足形にコルクが沈んでいき、足の温度で革が柔らかくなり全体的にフィット感が増していきます。
グッドイヤーウェルテッド製法
キャップトゥーはつま先部分が補強されているので形が崩れにく、靴底(ソール)は、滑り止めがついたダイナイトソールです。元々はゴルフ用に開発されたソールなので滑り止めが付いています。雨の日にも使えソールの減りも遅いのでかなり実用的なソールです。
底付けは、堅牢さに定評のあるグッドイヤーウェルテッド製法。
アッパーとライニング、ウェルトがしっかりと縫い付けられているため、非常に耐久性に優れており、靴内部に達する縫い目がないために耐水性も抜群。
さらにストームウェルトを付けて隙をなくしています。
ドレスとワーク、相反する要素をカバーする懐の深さ
全体的なムードは、ドレス感と武骨さが同居した佇まいが魅力で、トゥーの丸みが強くノーズも短めなそのフォルムは、甲高幅広の方が多い日本人の足形にもよく合いますし、スタイルとしても、スーツスタイルはもちろん、ワークシャツやカバーオール、チノパンや軍パン等のカジュアルウエアとも相性が良いです。
質実剛健さとクラシックな品位を感じさせるディテールが、土臭くなり過ぎない絶妙なバランスを保ってくれるので、ジーンズやワイドパンツの足元にもスッと馴染んでくれます。
最高レベルの品質『ボックスカーフ』
革は、靴に使われる革の最高峰と呼ばれる『ボックスカーフ』を採用。
カーフは生後3~6ヵ月の仔牛の皮を用いた皮革のこと。
このカーフを素材に、短時間クロムなめしを施し、素材の表情を残しつつ、見た目の艶やかな美しさと傷つきにくい丈夫さをプラスしたのがボックスカーフです。
クロムなめしといっても短時間なので、完全に皮の表情を覆い隠してしまうことがなく、経年変化も楽しむことができます。
植物タンニン鞣しと違い、極端な経年変化はないですが、傷や水分、皮脂などによる汚れにも比較的強く、お手入れが簡単なのもクロムなめし革の特徴です。
曲げ伸ばしに強い丈夫な素材であることも魅力のひとつ。
履き込んだキャップトゥーの、革の切り替え部分の肉の盛り方がかなり好きなポイントでもあります。
自分だけの一足
デザイン重視でもなく、実用性だけじゃない、雑誌や他の人がどうであれ、自分だけの定番として長年愛せて、履いていると気持ちが上がる。
オーセンティックなディテールが搭載されていても、このラストのおかげで懐古主義になりすぎない、時代や性別を越えて活躍してくれる靴だということは間違い無いです。
ただ、オールデンに代表されるアメリカ靴や、フランスのパラブーツ等のように、最初から履き心地が良いか?と聞かれれば、僕の顔は曇ってしまいます。
最初は革が硬く、人によっては靴擦れを起こしてしまう方もいらっしゃるでしょう。
決して安く無い靴を、痛みを我慢して履くという修行のような行為の向こう側にある、自分だけのフィット。ミラクルフィット。
これは自分調べなので忖度なしで言うと、昔履いていたトリッカーズのトリッカーズよりも、クイルプのトリッカーズは足が痛くなりにくいです。
そもそもその木型が合っていなかったのかもしれませんが、特にこのオックスフォードタイプや、プレーントゥーのタイプは、わりと早く馴染んでくれました。
なんせ10何年前なので、うろ覚えですが😅
冠婚葬祭にも
冠婚葬祭の場でしか革靴は履かないという方にも、これくらいのクオリティの一足を備えておくことをオススメしたいです。
適切に管理してもらえば何十年と履いてもらえますので、結果的にお得かと思います。
手入れするのが、面倒くさい?
お近くの方でしたら僕がやりますよ。
任せて下さい。
QUILPのTricker‘sと中村さんの靴があれば、足元はもう大体大丈夫です。
こちらは12〜3年履いている私物と新入りです。