説明
やわらかく光を抱き込む、砂丘みたいな一本
先日ご紹介したQUILP『CARLOCK』“影グリーン”と同じ型。
今回は8ウェル(太畝)のベージュ・コーデュロイです。
生地が変わるだけで、同じパターンでも輪郭の見え方が少しだけ違ってくる。
その変化がこの一本の面白さ。
畝が立つぶんシルエットはほんの少し張りを帯び、穿きはじめはキリッと。
馴染んできた頃にはふんわりと膨らむ。
まっすぐ落ちる裾線も、その『張りと柔らかさの同居』で生まれます。
ウエストまわりには適度なゆとりがあり、ヒップと太腿に安心感を残しながら、膝下からはすっとテーパード。
細すぎず、だぶつかない
前身頃には大きなパッチポケットがどんと据わり、そこに沿うように斜めのハンドポケットを重ねています。
後ろは角を落とした大ぶりのパッチポケットが左右に。
ワーク/ミリタリーの顔つきなのに、全体の線はあくまでクリーン。
腰骨の上にストンとのるハイライズ寄りのバランスもあり、ベルトレスでも形が決まります。
内側にはウルトラスエードのドローコード、外側はベルトループ。
食事の前後でサイズを微調整でき、きちんと見せたい日にも対応できる二刀流の仕様です。
Dead Stock British 8wale Corduroy
生地はイギリス製の太畝コーデュロイ。
コットンらしいコシに、畝の天面だけがわずかに光る上品な艶。
穿き込むほど毛足が寝て、ポケット口や膝裏に陰影が溜まり、色の濃淡と表情が増していきます。
最初はやや立体的、数週間後には落ち着いた柔らかさへ。
季節が進むごとに味わいが深まります。
ベージュという色は頼もしい。
白やブルーのストライプシャツをタックインすれば、どこかノスタルジックで清潔感のある佇まいに。
ジャケットを羽織ればワーク寄りの空気がほどよく中和され、黒やネイビーを重ねれば畝の陰影がぐっと引き立ちます。
足もとは革靴で引き締めても、スニーカーで軽くしても、丈感がきれいに収まる。
静かな色合いだからこそ、手持ちのトップスに自然と馴染み、冬の濃色アウターの土台としても優秀です。
意外と使える暖色トラウザー
サイズはいつも通りの選び方で大丈夫(私は①)。
ヒップと太腿には余裕があり、膝下はきれいにテーパード。
細身に自信がない方にも取り入れていただきやすいバランスです。
今季からは上下ともに③までの展開になり、はじめてQUILPを試す方にも間口が広がりました(③のウエストは約100cm)。
ワーク顔の頼もしさに、すっと落ちるテーパードが静かに効く。
畝が育ち、艶が落ち着き、冬の光をやさしく受け止める頃——この砂丘のベージュは、あなたのワードローブの“当たり前”になっているはずです。