説明
時間に耐えうる服。
古びることが劣化ではなく、『完成』に近づいていくことだと教えてくれる、フランクリーダーのシャツ。
60年代ドイツ軍のベッドリネンを使った『Old Style Stand Collar Shirt』は、僕の『制服』のように日々の暮らしに自然と馴染んでくれています。
過不足のない、理にかなったかたち
スタンドカラー、たっぷりした身幅、やや長めの着丈。
アンティークのシャツのようなムードなのに、いま着ても不思議と違和感がない。
ボタンを留めれば凛と、開ければ羽織のように。
何年も着ていると最初の驚きは薄れていきますが、それでも袖を通すたび「やっぱりいいな」と思わせてくれる。
そんなふうに、特別じゃない日でも頼もしい相棒になってくれるシャツです。
生地が語る、静かな存在感
使用されているのは、1960年代の旧西ドイツ軍が屋外使用も想定して備蓄していたベッドシーツ。
一見リネンのようですが、実はコットン100%の密度の高い平織りで、驚くほどしっかりしています。
何十年も軍の倉庫で眠っていたことで、状態も良好。
綿花の殻がうっすら残るような素朴な風合いで、洗うたびに手触りは柔らかく、色は白く抜けていく。
くるみボタンの布が擦れ、中のピューターが顔を出す。
そうした変化すら、むしろ『美しさ』と感じさせてくれる芯のある生地です。
『ちゃんとした服』を、肩肘張らずに
フランク自身が「壊れたら好きなボタンを付ければいい」と語るように、ヨーロッパでは直して着続けるのが当たり前。
くたびれても、格好をつけたくない日にも、自然と手が伸びてしまうのは、そんな懐の深さがあるからかもしれません。
太めのパンツで重心を下げても、細身で引き締めても。
春と秋は一枚で、夏はショーツと合わせて、冬はレイヤードで。
旅の羽織ものとしても便利です。
ナチュラルとバルティックブルー、2つの魅力
定番の未染色『Natural』に加え、今季は久々に『Baltic Blue』が登場。
数年前にも一度だけ入荷しましたが、そのときはご紹介する間もなく完売していました。
バルト海をイメージした、深く落ち着いた青。
濃紺とは違う、少しグレーがかった彩度控えめのブルーで、上品な佇まいが魅力です。
もともと表情のある生地なので、染めムラや未染の糸もちらほら。そこに個体差としての魅力があります。
染色段階で縮みが出ているため、着用後のサイズ変化はナチュラルよりも少なめ。
洗いを重ねることで、まるでナチュラルに戻っていくような優しい経年変化も楽しめます。
時間がつくる、もうひとつの価値
この生地をフランク・リーダーが初めて使ったのは2009年。
以来、在庫が尽きては探し、見つかればまた仕立てる
そんなふうにして、ブランドを象徴する素材になりました。
今回は、その『最後の在庫』を使い切ったシーズン。
今後はアンティークディーラー経由での仕入れに変わるため、価格は確実に上がっていくそうです。
ただ希少だからではなく、着る理由があるシャツ。
育てる服というより、『勝手に育ってくれる』服。
時間をかけてようやく自分に馴染んでくる
そんなふうに、完成へ向かって育つ一着です。
『ちゃんとした服を、無理なく日常に取り入れたい』
そんな方に、きっと静かに寄り添ってくれるシャツだと思います。
OLD TOWN好きにも響き、そしてマストな一着です。
ご紹介するのが遅くなったため結構減っちゃいました。
すみません。